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作家たるもの、なぜ書くのか
いのちの始原を求めて遠く旅する作家たち…
開かれた宗教性としてあらわれる魂の渇望。
宮沢賢治、山本周五郎、遠藤周作、太宰治など、
言葉を呼びさまし続ける作家たちの軌跡を読み解く。
◇主な内容◇
第1部 宮沢賢治童話「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」「鹿踊りのはじまり」「ポラーノの広場」「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」を取り上げ、賢治が自然と呼ぶものの中に〈いのちの始原〉を幻視する言葉を紡ぎ続けたことを、祈りの風景として読み解く。
第2部 山本周五郎『赤ひげ診療譚』『五瓣の椿』『さぶ』「柳橋物語」「むかしも今も」「彦左衛門外記」「花筵」「火の杯」を、周五郎とキリスト教のかかわりにおいて人間の罪の実態と信仰の問題を中心に、人生の意味や人間愛を問いかける。
第3部 遠藤周作『沈黙』『侍』を「信じること」をテーマに文学と神学の問題意識から考察、また遠藤と白鳥を山本健吉と小林秀雄の文章から相対化して白鳥の水脈をたどる。太宰治「富嶽百景」では、表現された自然を自分と対峙させることで作家的表現を確立させたことを論じる。中野重治は「歌の別れ」をもとに短歌との出会いがその作家的出発の中野に与えた影響を考える。
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