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日中戦争が始まった昭和12(1937)年、中国天津に(北支)宣撫官が誕生した。中国民衆を日常生活へと戻らせ、食糧を配給し、農務・医療など生活上の問題を解決する任務上、彼らは〝武器なき戦士〟として軍の意向と正面から衝突し、戦後も葛藤し苦悩し続けた。
1950年に中国戦犯として捕らえられ、昭和36(1961)年に、最後から14番目に釈放された宣撫官、笠実(りゅう・みのる)を中心に、宣撫班総班長の八木沼丈夫、宣撫官 陳一徳、山西残留の中心人物城野宏らの日中戦争から戦後までの長い足跡をたどり、遺族たちへのインタビュー、新発見の文献資料から、忘れられつつある記憶と記録を掘り起こし、その実像を綴った貴重なドキュメンタリー。
〈目次〉
プロローグ――帰ってきた宣撫官 笠 実
第1章 宣撫廟(国際霊廟)
第2章 宣撫官 笠 実
第3章 宣撫班総班長 八木沼丈夫
第4章 中国人宣撫官 陳一徳と宣撫工作
第5章 山西顧問補佐 城野宏と山西残留
第6章 「戦争」を生きつづける戦後日本社会
エピローグ――あの時代に生きた夫へ、父へ、祖父へ
あとがき
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