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金素雲訳編『朝鮮詩集』(岩波文庫)の解説者として世に知られる、朝鮮人作家、尹紫遠(ユンジャウォン、1911-1964)。1942年、朝鮮人初の短歌集を刊行した人物でありながら、戦後の歩みはこれまで注目されたこともなく、その存在は今ではほとんど忘れ去られている。
日本出身の妻と暮らした尹紫遠の戦後の日記には、「密航」・親族離散・朝鮮人差別・生活苦・文化交流、そして戦後日本で在日朝鮮人が「書く」営みの困難さを伝える断片的記述に満ちていた。様々な在日朝鮮の人たちの声を拾ってきた研究者の解読とともに、日記は豊かに「在日」の経験を現代に語りだす。
世紀をこえるグローバル移動の物語 西川祐子
在日朝鮮人文学史の〝失われた環〟 平田由美
体験と虚構の中に探る戦後史の共有の(不)可能性 日比嘉高
日記がつむぎだす「もう一つの戦後史」 板垣竜太
尹紫遠日記を読む 解説 宋恵媛
序. 宛先不明の手紙
一.在日朝鮮人と日記
二.一九四六年、戦後作家の誕生
三.蔚山での幼年時代、東京での孤独な青春
四.桃の花、あいりすの花―内なる朝鮮を詠む
五.東京はけふ雨が降ってゐる―戦後日本で朝鮮人が書くということ
六.文学者たちとの交流録
七.在日朝鮮人文学史の一隅で
八.謎解き
九.とし子
父と母の思い出 尹泰玄
尹紫遠日記(1946.9-1964.8) 尹紫遠
『月陰山』巻末記 尹徳祚
あとがき
尹紫遠作品一覧
尹紫遠が鑑賞した映画一覧
人名索引
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