裁判制度のパラダイムシフト 1

裁判制度のパラダイムシフト

出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます

出版社
判例時報社
著者名
笹田栄司
価格
3,960円(本体3,600円+税)
発行年月
2023年10月
判型
A5
ISBN
9784938166229

統治機構が弱体化しているなかで、裁判所への期待は相対的に高まっている。もちろん、選挙で選出されたわけではない裁判官が、立法に対する違憲審査権をフルに行使することは「司法による専制」という別の問題を引き起こす。日本国憲法の枠内で可能な違憲審査制のあり方がまずは探られねばならない。裁判所は「理の機関」として、公正かつ透明な手続に基づき、検証可能な理由付けのある判断を行うことによって、その存在が正当化される。本書では、このような司法の特質に適合的な違憲審査制及び裁判所のあり方を検討する。
日本国憲法の制定以来、違憲審査制は中心的課題であり続けている。違憲審査制の検討にあたっては、違憲審査制がどのようにして成立し、発展してきたのかをまずみておく必要がある。この歴史的分析なくしては、今後のあり方についての指針は得られないだろう。わが国の裁判制度は、明治憲法下では大陸法系であったところ、アメリカ合衆国憲法をモデルとした日本国憲法により、制度の骨格がアメリカ法的に構成されたという事情がある。違憲審査制や裁判官制度がその典型である。このような「原点」を前提にして、司法の「現点」は形成されている。
本書では、総論にあたるものとして司法権及び裁判を受ける権利をとりあげる。司法権概念(憲法76条1項)は違憲審査制の範囲を規定し、さらに裁判所の権限を画定することから裁判を受ける権利にも深く関わる。換言すれば、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)を媒介にして憲法76条1項と憲法32条が結びつくのである。次に、最高裁判所によって形成された狭い司法権理解が検討される。それは、個別テーマの仮処分や非訟事件にも関係する。さらに、裁判を受ける権利が「裁判所へのアクセス」のみならず「実効的権利保護」を保障するものであり、違憲審査制に深く関わることを示す。個別テーマとして、違憲審査の活性化に関連して、調査官制度、アミカスキュリィなどを検討する。
次に、司法に関する今後の課題も本書の射程に入る。まず、民事訴訟のIT化である。司法の効率的活用という面では評価できるとしても、それは「裁判を受ける権利」を阻害しない形で政策形成が可能か、また、口頭弁論がバーチャルなものになるとすれば、それは「裁判の公開」原則に触れないか、といった問題がある。加えて、インターネット上の検索結果の除去や名誉毀損的表現の事前差止めは「仮の地位を定める仮処分」手続で行われるが、この手続について憲法上の手続保障の観点からの検討が行われる。そして、薬害事件や公害事件で成果をあげている訴訟上の和解についても、それが超法規的救済を志向する側面を持つことから「法による裁判」や訴訟当事者の手続保障との関係が検討されねばならない。こういった個別テーマは、司法が統治機構のなかで存在意義を示し続けるために不可欠のものである。
本書は、歴史と未来、国内と国際の視点を織り交ぜ、読者に深い洞察と議論を提供する。日本の司法制度に関わる全ての方に、刷新的な視点からの知識と示唆を届ける一冊である。

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top