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山岸凉子が「犯罪」を描く。
あの子はあまりに可愛い子だった──
記憶の底に埋められた恐ろしい記憶が蘇る。
一人娘に男の子のような恰好ばかりさせていた寿子。郷里の海辺の町に戻ったことをきっかけに、幼い頃から封印してきた真実が浮かび上がる。(「海の魚鱗宮」)
実姉の敦子を刺殺した絹子。 誰よりも妹思いで、しっかり者だと評判だった姉。複数の関係者の証言によって姉妹の真実の関係が少しずつ浮き彫りになっていく。(「瑠璃の爪」)
都会の大企業での仕事に疲れた敏子は、寂れた漁村のお屋敷に家政婦として住み込む。深草家には、茶華道の先生をしており、物腰も落ちついた美しい夫人がいた。しかしその屋敷には……。(「鬼来迎」)
実在のサイコキラー、メアリー・ベルをモデルにした作品。21歳のメイは、連日見るおかしな夢に悩まされていた。(「悪夢」)
幼少期に妹を殺された主人公。周囲で、再び似たような連続幼女誘拐殺人事件が起こり始める。犯人は捕まった筈なのに……。パイド・パイパー(ハルメンの笛吹)のように幼い子供が思わずついて行ってしまう犯人とは。(「パイド・パイパー」)
世には無数の恐怖譚があるけれど、最も救いなく人を恐怖させるのは、「自分自身が自分を恐怖させる当のものである」という物語ではないかと思う。
山岸先生のマンガはまさにそのような恐怖譚である。 ──内田樹(解説より)
実録犯罪的な作品を中心にした、漫画界のレジェンド・山岸凉子の、ホラーの香り漂う自選作品集。
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