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●原典はイエズス会の標準文法書となった名著
「天草版」(1594)の原典は、マヌエル・アルバレス原著「ラテン文典」(1572年初版)。イエズス会の標準文法書となって、版を重ねた名著で、10年後のロドリゲス「日本大文典」(1604)にも、名指しで引用される。
●諸本を精査した綿密な初の全訳・全釈
「天草版」は、日本イエズス会が、このイエズス会標準文法に、日本語記述を加えたもの。今回が、その日本語記述部分(巻1)の初の全訳・全釈。
原典アルバレス「ラテン文典」の、大文典・小文典の二系列の諸本の精査に基づく、綿密な注釈。
●ラテン語本文の構造がわかる訳・翻刻
英訳・和訳ともに、ラテン語本文の構造が明らかになるような直訳を宗として、読者がラテン語原文を直接参照することを容易にした。ラテン語原文を直接参看したい読者のために、ラテン語の解釈翻刻には、格の認定に関わる母音の長短を、単数主格 particula /単数奪格 particul〓 のように明記して、解読に資した。
●日本語学史資料として読み直すために
準体の初の記述(直説法の不定法化と説明)を持つ等、日本語学史資料としての再検討に値する。原文は、ラテン語・ポルトガル語で、従来は参照に難があったが、本全釈が、「天草版ラテン文典」を、日本語学史資料として読み直すことを、より容易にするであろう。
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