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私たちの感情は〈ならわし〉によってつくられる?
内側からこみあげてくるように感じられる「感情」。
しかし、喜怒哀楽は、時代や慣習によって変わる。
つかみづらい感情の正体をもとめて、民俗学をひもとく。
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本書「はじめに」より
感情については、これまで、数えきれないほどたくさんの本が書かれてきました。
なぜそれほど多くの本が書かれてきたかというと、多くの人が、感情をつかみづらいと感じているからです。「感情に左右されている」「感情にもてあそばれている」「感情をコントロールすることがむずかしい」……。この本を手にしたあなたも、きっとたぶんそんな人なのでしょう。
でも、そもそも感情は、どこにあるのでしょうか?
感情のありかをみきわめようとするとき、感情が「こころ」に属するという人と、「からだ」に属するという人がいるようです。
たしかに、感情が「こころ」にあるか、「からだ」にあるかによって、感情への対処のしかたが変わってきそうです。
「こころかからだか」は、「心理現象か生理現象か」といいかえることができるでしょう。しかし、感情を発生地点をみることで、その本質に近づくことができるものでしょうか。また、感情を心理や生理としてあつかわず、哲学の対象として感情を概念的にとらえて考察することもさかんにおこなわれています。いってみればそれは、感情を「あたま」で分析し、理解しようとする立場だといえるでしょう。
いずれにしても、感情が人間のどこから生まれてくるのかがはっきりとしているのなら、感情は御しやすいような気がします。ですから、感情は私たちの内側にあるのか、外側にあるのかについて疑問を抱いてみてもいいかもしれません。
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