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新聞記者時代、美術と宗教を担当し、
作家に転身した共通点をもつ井上靖と司馬遼太郎。
のちに国民的作家となった二人の
知られざる美術記者としての葛藤の日々、
対照的な美へのまなざしを追う。
「一人はその仕事を積極的に受け入れて精力的に取り組み、
その後も生涯、美術と密接な関係を保ちつづけた。
もう一人はその仕事を「忌み嫌い」、
やがて役目から解放されたあと自由に美術と接する
醍醐味を知った。
なりゆきであれ、二人は新聞記者として
時代の美術現場とどのように向き合ったのか。
その経験はのちに何をもたらしたのだろう」(本書より)
(目次)
序
第一章 遅咲きの桜──須田国太郎のこと
第二章 一期一会と想像力の飛翔──井上靖を中心に
一 創造美術のスクープとその前後
二 惚れこみと物語化──ゴヤへの熱中
三 西域の旅──シルクロードにて
第三章 狂気とかなしみへの共振──司馬遼太郎を中心に
一 「絵描きになろうとおもった」
二 驚きのその先へ──八大山人
三 狂気と「文学」──ゴッホと鴨居玲
第四章 美術の先へ──それぞれのアプローチ
一 美を超えたもの──上村松園
二 生命の発光──三岸節子
三 陶とはなにか──井上靖と河井寛次郎、司馬遼太郎と八木一夫
第五章 二人の宗教記者
一 宗教記者・井上靖
二 宗教記者・福田定一と司馬遼太郎
三 仏塔と書のことなど
おわりに──回り道の恩寵
あとがき
[著者] ホンダ・アキノ
大阪府生まれ。奈良女子大学卒業後、京都大学大学院で美学美術史を学ぶ。修士課程を修了し新聞社に入社。支局記者を経て出版社へ。雑誌やムック、書籍の編集に長年携わったのちフリーとなる。
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