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宗教と科学も自信喪失の時代。行き詰まりを打開するものは何か?
そして信仰(祈り)は、そのような時代に新たな息吹を吹き込めるだろうか。
合理的な思考というものが世界を良い方向へ導いてくれる、と多くの人は考えてきたが、今やこの前提に疑問が投げかけられる時代となった。「因果関係の不安定さ」が物理学において論証されたために、科学はそれほど確実なものとは保証されなくなったのである。
他方宗教は、土台に火がついてから久しい。宗教への大きな挑戦は、むろん自然科学の発達である。
「信」と「知」という人間生存の二つの側面が、それぞれ瀬戸際に立たされている。双方は対立の歴史から脱却していない。今世紀に入って、指導的な宇宙科学者がローマ教皇と正面から対峙する場面なども見られた。
天賦の二大才覚である双方とも、それぞれ再構築が不可避となっている。
信仰は、行(祈り)の実践普及と信仰学の振興によって新たな息吹を吹き込むことができる。
科学は「ひらめき」など精神面を取り込むことでその幅を拡張し、人間存在をただ要素還元して骸骨化してしまう科学一神教を超克することができる。
ここにおいて脱物質主義、脱進化論的合理主義の新たな哲学が要請されるのである。弱肉強食ではなく、自然の原理としての「共生」に関する学術的な議論と概念の定着が必要なのである。
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