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19世紀まで原住民のポリネシアン・ハワイアンは独自の神々と文化を維持していた。
南太平洋地域で活躍していた英雄マウイや母の女神ヒナ、そして火の女神ペレといった神々も人びとの故郷から一緒にハワイへやってきた。そうした神々が活躍する物語は人びとの間で「生きたもの」として機能していた。神々が活躍する物語である「神話」の中心になっているものは、人間にとって重要な物事の起源を語ることにある。
ポリネシア人が最初にハワイにやってきたのは西暦300年~700年の間。ハワイは太平洋地域のほかの島々とあまりにも遠く、その支配力がハワイ諸島の外にまで及ぶことはなかった。ヨーロッパ人がハワイを発見したのは1778年のこと。著者は、コロナ禍の中、20年前にハワイ島をドライブした時の日記を読み直し、神話、昔話の記録にまで手を伸ばして、忘れかけていた当時の様々な出来事がつい昨日のことのように思い出されると同時にハワイ文化の始原にあるものへ触れえることとなった。ハワイを訪れる人は多い。しかし神話や物語を知る人は少ない。どの民族にも共通する、神という超越的存在が自分たちの世界を守ってくれるという観念を物語形式で表したものである「神話」において、知られざるハワイの神話を紹介することで「こんな物語もあるのか」と読者に堪能していただければ幸いである。
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