〓の跡

令和俳句叢書

〓の跡

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出版社
ふらんす堂
著者名
梶原美邦
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2023年9月
判型
四六判
ISBN
9784781415789

◆第三句集



とりどりの時間が落ちてゐる椿



私の詩に登場する全てのものたちの光陰の模様という意を込めて「?の跡」という名に致しました。(著者)



◆自選十五句

種袋振ると日和の音ばかり

虫はみな自分の闇を鳴らしをり

舞ひ上がる音丹頂となれる穹

土の香の春意あつめてゐる箒

想ひ出が菊の中から香りをり

切干の風の模様となる筵

とりどりの時間が落ちてゐる椿

人間のほかは曇りの海開き

体内の水澄むこゑを発したり

一村の灯が初空のいろとなる

初蚊打つ掌にぺちやんこのこゑの跡

ががんぼの名刺片足置いてゆく

トンネルの秋思吐きだす電車くる

夕去りて鳴ける氷柱の番縄

おにぎりの転がりたがるあたたかさ

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