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第161回(2019年上半期)芥川賞候補作
高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』
おばあちゃんは背中が一番美しかったこと、下校中知らないおじさんにお腹をなめられたこと、自分の言いたいことを看板に書いたりする「やりかた」があると知ったこと、高校時代、話のつまらない「ニシダ」という友だちがいたこと……。大人になった「私」は雨宿りのために立ち寄ったお店で「イズミ」と出会う。イズミは東京の記録を撮りため、SNSにアップしている。映像の中、デモの先頭に立っているのは、ワンピース姿の美しい男性、成長したニシダだった。
イズミにつれられてやってきたデモの群衆の中、ニシダはステージの上から私を見つけ、私は逃げ出した。敷き詰められた過去の記憶とともに、私は渋谷の街を思い切り走る、ニシダにつかまらないように。
【著者略歴】
高山羽根子(たかやま・はねこ)
1975年富山県生まれ。2010年「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞佳作を受賞し、デビュー。2015年、短編集『うどん キツネつきの』が第36回日本SF大賞最終候補に選出。2016年「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞を受賞。2019年「居た場所」で第160回芥川龍之介賞候補。「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」で第161回芥川龍之介賞候補。
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