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なぜ日本の民俗学は、河童やザシキワラシの話から始められたのか?
全部読まなければ、この本のすごさはわからない!
日本民俗学の創始者である柳田の原点にして代表作。
平地人を戦慄せしめよ/此書は現在の事実なり――高らかな挑発の言のもと、柳田はいったい何を企てたか。
「平地人を戦慄せしめよ」という高らかな宣言に込められたものとは何か。
「ザシキワラシ、オシラサマや河童たちが躍る不思議な世界」
「叙情豊かな日本人の原風景」
という本書がまとってきたイメージの奥にある真価とは何か?
民俗学を創始した記念碑的作品の真価がわかる、平易な訳文と懇切な解説の全訳注。
【本書「はじめに」】
『遠野物語』は、現在ではたいへん有名な本になっています。一つには、日本民俗学を創始した柳田國男の代表的な著作としてです。もう一つには、遠野の人佐々木喜き善ぜんが語った東北の村の古く豊かな生活の世界を語っている著作としてです。ザシキワラシやオシラサマや河童たち、その不思議な世界が語られており、あたかも日本の近代化の中で失われていった叙情豊かな日本人の原風景を語ってくれているもののように思われているからです。
しかし、そのようなイメージは、実はこれまで『遠野物語』を紹介してきた数多くの著作物の文章の受け売りの積み重ねの中で作られたものではないかと思われます。やはり、自分で直接、『遠野物語』の本文を読んでごらんになるのがよいと思います。すると、柳田があらたに日本民俗学という学問を創始していくその原点がわかり、そこから民俗学とはどのような視点と方法を特徴とする学問か、その独創的な面がわかってきます。
(中略)
この『遠野物語』の文章はすでに古典の域に至っており、現在の中学生や高校生にとっては難しい文章ともなっています。そこで、柳田國男のもとの文章をそこなうことのないように気をつけながら、現代口語訳の文章をそえておくことにします。
*本書は講談社学術文庫のための訳し下ろしです
*明治43(1910)6月に聚精堂から刊行された初版本を底本としています
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