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〓〓ほんとうにあったことを描くのだ。うそや、からかいではなく。ごまかしではなく。見たことを。
時は文久元年。13歳の吟は、流行り病で亡くなった母の代わりに、父・緑青の稼業・かわらばん屋の手伝いをしていた。かわらばんとは、庶民にニュースを伝えるいまでいう新聞のようなものだが、かわらばん屋はまともな仕事ではなかった。なぜならこの時代は、政治に関することや世の中のありさまを書くこと時代が禁止されていて、ましてやそれを刷って売り、人びとに広めるなどもってのほかだったからだ。ある日、吟と緑青のもとに、見世物小屋の主人・征六がやってくる。征六は、ニセモノの人魚をつくってひともうけしようともちかけてくるが……。
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