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昭和の戦争「太平洋戦争」はなぜ起きたのか。この昭和史最大の謎と顛末を考えるためにはどんな本を読んだらいいのか。論点を考え、整理してゆこう。新しい論者の指摘はどんなものか。新しい研究、古くとも参考になる本。この本は、昭和史のブックガイドを兼ねた読書エッセイとでもいうべきもので、著者が「新潮45」と「週刊ポスト」で書いてきた書評の中から昭和史関係の書評を抽出し、さらに、いままで刊行された膨大な昭和史関係の本についての総合的なブックガイドも目ざすといった贅沢な体裁になっています。『昭和史百冊』と銘打っていて、主たる書評は百冊ではあるものの、実際に、本の中で取り上げたのは四百冊以上にも及びます。これらの本の選択については、著者が考えに考えた末のものです。「もちろん個人でカバーするには不可能な広大な分野ですが、今後、昭和史を考える時の、すこしでも役立つ本になっていれば、それで十分」(はじめに)という意図のもとにつくられました。
この本の企画の出発点には、田島道治『昭和天皇拝謁記――初代宮内庁長官の記録』の書評があります。その書評で著者は「掛け値なしの昭和史の超一級史料である。原本を初めて手にしたNHKの記者も、本書の編集委員である研究者も、衝撃と驚きの声を挙げているが、ページをめくる私も随所で驚きと、さらに戸惑いに襲われた。昭和史の書き換えは本書の完結と同時に必至だろう」(「週刊ポスト」二〇二二・二・四)と書いています。本書の「はじめに」の中でもこのことに触れて著者はこう書いています。「「昭和史の書き換え」というのが大袈裟なら、「昭和史の更新」といえば適切か。私が昭和史に本格的に関心を持ったのは平成の半ば頃だから、新参者である。そんな人間が、こんな大それたこと(昭和史本の選定)をしていいのか。ただ、昭和史本を漫読していると、やはり一つの区切りがかつてあったことは、はっきりしている。平成に入ってすぐ、「文藝春秋」平成二年十二月号に掲載された『昭和天皇独白録』の出現だ。「肉声」の昭和史である。田島道治宮内庁長官の『拝謁記』の出現は、質量ともに『独白録』の衝撃をはるかに上回る。必然的に「更新」なり「書き換え」なりが必要になる。そうした混乱期なのだから、むしろ今までの昭和史の成果を、一度整理してみるのは有意義ではないか。」
本書はそうした意図のもと読書ガイド、昭和史本ガイドとしてかつてない内容の画期的本となった。巻末リストに取り上げた本は、著者名、書名、出版社名の順に記した。なるべく入手可能な本をと心がけた。入手不可能な本は書名の脇に*印をつけ、電子書籍なら入手可能な本には☆印をつけた。『江藤淳は甦る』で小林秀雄賞、『満洲グランドホテル』で司馬遼太郎賞、近刊『小津安二郎』でいま注目の著者による読んで面白い読書案内エッセイ。
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