外来種は悪じゃない

外来種は悪じゃない

1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります

出版社
草思社
著者名
伊地知英信
価格
1,980円(本体1,800円+税)
発行年月
2023年8月
判型
四六判
ISBN
9784794226655

本書は生物関係のテーマで長年ライターをやって来た著者による現代の自然保護政策への批評的ひと言。令和5年6月1日から特定外来生物保護法の改正施行で、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、アメリカザリガニの「輸入・販売」が禁止された。罰則罰金も厳しく、50年以上も日本に住み着き、子どもたちのペットとしても親しまれ飼われてきたこの2種も排除の対象になってしまった。一方で、メディアでは相変わらず外来生物が日本固有の生物や里山的環境を破棄すると誤解に満ちた報道が垂れ流されている。「かいぼり」(池の水抜き)を娯楽化して外来生物と在来生物を分けて駆除するテレビ番組も人気である。
――外来生物は悪者で、在来生物は良い存在だという単純な考えにも疑問を抱く。つまり生き物を良い悪いで見ること自体がおかしな自然観だと思うのだ。だから外来生物を取り除けば「理想の自然」が再現される、という考えを疑っている。(本文より)
 著者は東京近郊の公園近くに住み河川や池の自然保護などにも参画している。都市環境のなかでどのような自然が生成しているかを見つめてきた。自然の複雑な生態系のありかたは人間の思い描く以上の動きで、ダイナミックに変化している。日本の外来生物移入の歴史(マングースや食用ガエル、またペットの逃亡・放流などの歴史、ミドリガメはお菓子の景品としてアメリカから大量に輸入された。アメリカザリガニは食用ガエルの餌として輸入されたものの生き残り)のエピソードを振り返りつつ、さらに西洋流の環境保護思想の輸入の影響も踏まえ、混乱する外来生物政策の現在の論点を整理しもっと豊かな「新しい自然」観を提唱する痛快自然エッセイ。
本書には「もちつきかつみ」さんによる巧みな生物イラストが満載されており、これを見るのも楽しい。

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top