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◆第一句集
哲二さんの句は平明だが、決して平板でも単純でもない。対象を哲二さん独自の感性で柔らかく鮮明に描いていて、余韻が残る句なのである。
(序・塩川京子)
◆自選十二句
父の手に負へぬ夜泣きや夏の月
子の肩のてんたう虫をまだ告げず
冬空や日本の裏といふ故郷
産声のひときは高し実南天
新走り飲み干す肘の高さかな
子放てばたちまち駆けて飛花落花
遺伝とふ恐ろしきもの夏帽子
常連とならぬ気安さ帰り花
いちまいの青となりたる初御空
蝶を追ふ蝶ひるがへり午も過ぎ
波郷忌や遺影の髪の豊かなる
基地の中まで寒林のひと続き
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