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各国のGDP(国民総生産)を国の位置関係を考慮して解析してみよう。GDPを予測したい変数(目的変数)としたとき、GDPは個々の開発投資額や失業率のような経済状況(説明変数)ばかりでなく、近隣諸国のGDPからも影響を受けていることが想定される。この直感を統計モデル(回帰モデル)に取り込めば、近隣からの影響を考慮しないモデルよりすぐれた解析結果が得られると期待される。
本書では、このような社会経済データに関する回帰分析について、観測領域の特性(説明変数)ばかりでなく、領域の位置関係も考慮することにより、より実態に即した解析となるような統計的手法(モデリング)を議論している。取り扱われる実例はGDP、民主化度、紛争件数、選挙行動、各国のネットワーク等の多岐にわたり、興味深い結論が導かれている。社会科学に関する空間データについて、空間的依存性をモデルに取り込むことの有効性を示している好書である。R(無料の統計パッケージ) のソースコードと解析例が著者のウェブページに掲載されているので、参考になろう。さらに最近の発展的な話題についても触れられていることも本書の魅力の一つである。
[原著: Spatial Regression Models Second Edition, Sage Publications, Inc., 2018]
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