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一年前、富澤大輔のもとに、実家の母親から一枚の写真が送られてきました。それは富澤が小学生の頃、学校の授業で書いたであろう「字」という一文字が書かれた色紙でした。
富澤はこのえも言われぬ“「字」という字”の良さに素朴な感動を覚えます。
これは、そんなえも言われぬ感動をキーワードにしてつくられた写真集。
一年にわたって撮影された九千枚以上の写真から選ばれた、三百六枚の写真で構成されますが、その感動の種類が一体なんなのか、説明のできないままに選ばれたこれらの写真たちは、こうして束になってもいまだ言葉を与えられることができないままでいます。
この量で組むことでしか、つくることのできなかった感動を是非、体験してみてください。
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巻末には、植民地美術史研究者・柯輝煌による論考文も掲載されています。文字の発生から、「絵画と書道」の差異、「模倣と創造」を、【近代/前近代】という概念を通してめぐることで、今日「表現」とよばれているものの根源へと接近していく文章となっています。
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