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昨今、農作物の中に遺伝子組換えやゲノム編集といった最先端技術により作られたものが浸透しつつある。これら技術は、特に植物の品種改良(育種)の場面で使用されるが、そもそも「遺伝子」、「ゲノム」、さらには「品種改良」あるいは「育種」とはどのようなものか。本書は、著者が大学で行ってきた講義をまとめ、一般読者や育種の学習者等を対象に、「植物品種改良とは何か」についてその遺伝的基盤を含めて論じた初版に改訂を加えたものである。
遺伝学者ヴァヴィロフは、「育種とは、人間の意志による生物の進化である」と述べた。植物育種は、植物の遺伝的な側面を改良する農業上の基幹技術であり、種(しゅ)を育む生物進化に繋がっていく壮大な物語である。品種改良には直接関係しない読者にとっても、日常の生活において「なぜそうなるのか」、「なぜそうするのか」を徹底的に考えるという姿勢は重要である。その種(たね)に本書がなることを願う。
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