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◆第六句集
俳句は印刷された時点で作者の手を離れ、広い世界へ飛び立っていきます。
ふたたび私の元に戻ってきたときには、余りにも大きな句風の変わりように、きっと驚くことでしょう。その日を楽しみに精進を重ねたいと思います。
(あとがきより)
◆自選十五句
開き又閉づる日記を始めけり
餞は春の立つ日のそのやうに
春や風のほとりに青銅の騾馬
正門を真つ直ぐ出でて卒業す
春宵のまだやはらかき嘘の芯
空蝉や命にのこり香のあらば
之繞のはらひ長しや迎へ梅雨
心映え美しや芭蕉布着熟して
噴水に下手な気骨の無き強み
海の日は来る海の無き県にも
命あるものに緩急やぶ枯らし
濃く淡く霧は佳境を描き分け
神の愚痴神が聴きをり神無月
蓮根の穴に秩序のあるカオス
敗れざる者らのこころ埋火は
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