韓国民話の不思議な世界を自在に飛び回る鬼神、トッケビ、そして龍、大蛇、狐、ニワトリ、ムカデ、カニの化け物たち。圧倒的な破壊力を発揮する人食い虎の物語。
1970年代のセマウル運動(新しい村運動)によって電気が引かれる以前の韓国農村は、昼と夜がはっきりと区別され、夜は漆黒の闇のなかに鬼神やトッケビが出没する恐ろしい時間だった。
鬼神は、不遇の死をとげたために祖先祭祀を受けることができず、恨みを残したままこの世を彷徨う魂であり、トッケビは、使い古しの箒等の道具が遺棄されて変化し、峠などに出没する妖怪である。
トッケビは、悪戯者だが特定の人に祟ることはない。これに対して鬼神は子孫や知人に祟り、病や不幸をもたらすので、ムーダン(巫堂)という職業的なシャマンに依頼してその魂を鎮める必要が生ずる。現在でも、ソウルの街を歩くと時々ムーダンの住まいを知らせる旗に出会う。
こうした鬼神やトッケビのほかに人を脅かすのが、龍、大蛇、狐、鶏、ムカデ、カニの化け物たちである。
本書では、韓国の闇に飛び交う多様な妖怪たちの世界を、昔話の語り手たちともに探る。
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