談 no.127(2023)

特集:自動化のジレンマ

談

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出版社
たばこ総合研究センター
著者名
杉本舞 , 鈴木貴之 , 笠木雅史
価格
880円(本体800円+税)
発行年月
2023年7月
判型
B5
ISBN
9784880655512

エジンバラ大学でAI(人工知能)と倫理学の関係を研究するシャノン・ヴァローは、2017年の論文「AI and Automation of Wisdom」で、ロボット開発、機械学習、そしてコンピュータによる自動化の進展が、人間の知恵(wisdom)が直面する課題を浮き彫りにしたと論じた。自動化は、人間の専門性や新たな知識を開花させる領域をつくり出したが、同時に、これまで築き上げてきた科学技術の伝統、その土台にある「知恵」を放棄することになるかもしれないと警鐘を鳴らす。



技術革新はイノベーションを促すが、その代償として大量の失業を引き起こす。失業の歴史を紐解くとある一定のパターンが見出せる。失業はより高い技能を必要とする分野の成長によって常に補填されてきたという事実だ。だが、このパターンはAIの出現によって崩壊する。AIは市場における高い技能を用いる分野の労働需要をむしろ圧縮するのである。とりわけ、これまでプログラムするのに困難があると考えられていた仕事が標的になる。クルマの自動運転や文章作成などがそうだ。ディープ・ラーニングの技術が仕事そのものの質を変質させるのである。人間ができる仕事で、コンピュータができない仕事はもはや何もないのである。



真の意味で知恵を必要としない「自動化」。その自動化の巨大な波が今や仕事も人間も飲み込んでしまうのだ。自動化という波濤の先端で、私たちはどこへ向かうのか。

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