緩和ケアという森にはさまざまな木(テーマ)が生えている.そんな森に足を踏み入れようとしているあなたに,初心者時代の記憶新しい著者らが記す,<緩和ケアの“超入門書”シリーズ>!!
本巻ではオピオイドの基本から使い方を?み砕いて解説.使用の手順・考え方,副作用マネジメント,困ったときの対応,他職種との連携を軸に記し,一見とっつきにくいオピオイドがより身近に感じられる.
【書評】
「ようこそ緩和ケアの森」のシリーズ5 冊をはじめてみた瞬間,緩和ケアで主となる5 つのテーマと,かわいさに心打たれました.5 冊並べるとかわいい動物がいて,「森」になりました.シリーズ監修を務めている森田先生の「森」のイメージで,森田先生の隣人愛があふれるシリーズです.5 冊ともに森で住むかわいい動物が記載されており,見るだけでとてもほっとし,緊張感が和らぎ,すぐに愛着がわきました.
今回は,シリーズの1 冊である『オピオイドの使い方』を紹介します.私が,病院に就職したときより,現在使用できるオピオイドの種類が増えました.経口薬や注射薬も1 つから複数併用,多くのオプションがあるので,がん疼痛緩和が実現できる時代になったと感じています.がん疼痛緩和に携わったばかりの方は,種類が多く,勉強することが多いかと思います.本書籍では,かわいいうさぎが,「これで脱・初心者 つまずきやすいポイント」について箇条書きでまとめてくれており,初心者が最低限学ぶポイントがわかりやすく理解できます.
私が,個人的に気に入っている箇所は,「Dr森田より」で,ふくろうがちらっと見ている吹き出しです.吹き出しでは,よくあるコツや豆知識が記載してあり,経験豊富な方でも共感する部分が多いのではないでしょうか.この吹き出しだけを読んでも,興味深くて読み進んでしまいます.「アンペックは,在宅で半分から1/3を使ってみる」とか,「オピオイドの退薬症状は,wet 症候群と覚える」など,経験豊富なコメントが満載で面白いです.
さらに,「私のプラクティスやさらにレベルアップした人のため」の情報とし,著者の臨床実践やエビデンスが記載されています.ガイドラインや教科書には記載できないことも,しっかりしたエビデンスとともに記載されており,臨床現場で実践するための内容や患者さんのQOL に有益な内容を知ることができ,どれも「なるほど,なるほど」と感心することばかりです.
すべての内容が患者さんに役立つものばかりのため,ぜひ,がん患者さんや非がん患者さんにかかわらず,緩和ケアに携わる方にお勧めしたい書籍です.
がん看護29巻2号(2024年5-6月号)より転載
評者●林 ゑり子(藤沢湘南台病院看護部,横浜市立大学医学部看護学科)
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