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室井光広とは誰だったのか?
誰でもない。宇宙を吹き渡るコトバの元気(げんき)、天籟(てんらい)だった。
――辻原登
こんな凄い小説が書かれていたことに驚きました。
生きる悲しみが言葉の奥底に繋がっていることを知りました。
貪るように読みました。
――町田康
カフカ、ボルヘス、ジョイスといった先達を読み/書くことを通して、日本という「辺境」から世界文学の最前線へ。詩と小説と批評の三位一体を追求した現代文学最高の精華が、ここに再生する――。
表題作は第111回芥川賞(1994)を受賞しながらも、その余りに独特な内容と形態によって「はたしてこれは小説なのか?」と賛否両論を巻き起こした伝説の傑作。そのほか、著者の故郷・南会津を舞台にした関連作を「猫又」サーガとして初集成/初文庫化。
古今東西の博識を呼び込み、「言語」と「小説」そのものの謎を探究する室井光広の目眩くテクストによって、日本語文学は何を目指し、何を実現したのか。
遺作『エセ物語』へのイントロダクションともなる、まさに「室井入門」として最適な一冊。
今こそ、時代は室井光広に追いつくことができるか――?
【目次】
[本編]
猫又拾遺(1991)
あんにゃ(1992)a
かなしがりや(1993)
おどるでく(1994)
大字哀野(1994)
和らげ(1996)(初書籍化作品)
[巻末資料]
単行本版あとがき(1994)
万葉仮名を論じて『フィネガンズ・ウェイク』に及ぶ(1994)
インタビュー 室井光広氏と語る(1995)
巻末エッセイ=多和田葉子「海に向かえ山に向かえ言葉に向かえ」
解題=川口好美
《あらゆる翻訳は最終的に原作の行間にただようおどるでくを読者の心底にうつすことを目的とするといっていいだろう。そのうつし方は、病気をうつすようにしてなされる。私は再度キリシタン版の中にうつし方の現場をさがしにゆく。おどるでくをうつされるのを好む人は何よりも「写す」行為をいやがらないと露文氏はいっている。》――表題作より
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