基地とウクライナと私たち
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いま、私たちは「戦争」と改めて、向き合うことになった。
ウクライナにはロシア軍がいまなお侵攻を続けている。北朝鮮のミサイル発射実験や米中・中台の対立を受けて、日本政府も軍事費の大幅な増額を進めている。世界各地の軍事基地では、以前から、環境問題・軍事公害の問題が指摘され続けている。この時代状況の中で、私たちは、戦争と社会をいかに認識し思考していけるのか。
2つの特集「軍事と環境」、「ウクライナ問題と私たち」で、現在進行形の深刻な問題に対峙し、『シリーズ 戦争と社会』に対する批評集を加えて、人文・社会科学が戦争をどのようにとらえうるのかを多面的に考えていく。
〈特集1 軍事と環境〉では、戦争や軍事が自然・生活環境に与える影響について考察する。従来の戦争社会学の研究はアジア・太平洋戦争を中心としてきた。その現状を踏まえ、現在に至るまで太平洋島嶼地域で続発してきた軍事公害問題の研究蓄積と戦争社会学の視点を交差させ、現代的な研究展開の可能性を提示する。
〈特集2 ウクライナ問題と私たち〉では、未だ終わりの見えないロシアによるウクライナ侵攻について、戦争社会学を牽引してきた研究者たちが、多様な立場から論点や視点、そしていま目の前にある課題を自由に提起する。未だ直接的な調査研究は難しく、簡単な答えを出すことができない戦争を前にしてもなお、私たちの生きるこの世界の問題として思考し続け、戦争社会学の研究課題として引き受けていく道を模索する。
〈特集3 『シリーズ 戦争と社会』から考える〉は、2022年4月に全5巻が完結した『シリーズ 戦争と社会』(岩波書店)について、歴史学・社会学の泰斗が批評しつつ、今後の戦争研究の可能性や課題を展望する。
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