【読者対象】
本書は,理工系の大学生や大学院生を主な読者対象としていますが,3DCG技術に興味のある高校生や社会人,ゲーム制作会社のエンジニア,研究者など,幅広い読者にも役立つ内容となっています。
【書籍の特徴】
本書で取り扱う内容は3DCGの基礎となる内容です。しかしながら,基礎だから簡単というわけではなく,類書に比べると数学的に高度な内容を含むものとなっています。本書では,3DCGを支える技術を「モデリング」「レンダリング」「キャラクタアニメーション」「物理シミュレーション」といった四つに分け,それぞれ独立した章で解説します。この四つの技術を,もう少し平易な言葉で表現すれば,形を作る・映像を作る・動作を作る・自然界の挙動を再現する,と言い換えることができます。それぞれを各分野の第一線で活躍する研究者が担当しました。
【各章について】
「モデリング」の章では,物体の形状をサーフェスメッシュによって記述し,それを編集・加工するための諸理論を解説します。
「レンダリング」の章では,物体表面の輝度計算に焦点を当て,実写並みの映像を生成する大域照明計算手法,事前計算を用いた高速画像生成法などを解説します。また,リアリズムを向上させるために必要な光の散乱といった物理現象についても説明します。
「キャラクタアニメーション」の章では,アニメーション制作における標準技法であるスケルトン法について紹介し,人型を模したキャラクタモデルのためのさまざまなアニメーション編集技術を解説します。
最後に「物理シミュレーション」の章では,硬い物体だけではなく,水や空気のような流れる物体を含む,複雑な自然現象の挙動を計算で求めるための手法を解説します。
【著者からのメッセージ】
コンピュータは長い間,科学技術計算やバックオフィスなどの用途を主として使われてきましたが,パーソナルコンピューターやゲーム機が我々の日常生活の中でも使用されるようになったことで,エンターテイメントを目的とした幅広いアプリケーションが開発されるようになりました。コンピュータの性能の向上に伴い,あたかも現実世界が画面の中に広がっているかのような映像を作り出すことに対するニーズが高まると,3DCGはなくてはならない技術となりました。今日では,ゲームや映画,または広告やVR体験などにおいて,3DCGをベースとしたサービスがさまざまに誕生しています。
このような3DCG技術も,一朝一夕で登場したわけではありません。コンピュータグラフィックス誕生からの長い期間における,地道な技術開発の積み重ねがありました。その果実を今,私たちは手にしているわけです。このような3DCG技術を高度に使いこなし,さらにその発展に貢献しようと考えるのであれば,その基礎を支える技術に対する理解が必要になります。そのような必要性に応えるために,本書が執筆されました。3DCG技術を支える理論に興味のある方々に,本書を手に取っていただけたらと思っています。
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