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東京裁判に関する概説書や学術論文は数多く刊行され、裁判論はすでに出尽くされたとの感がある。しかし、これまでの裁判論は主に政治・外交史を基調とし、法廷で適用された責任論や各被告人に対する判定の根拠を体系的に分析するものは数少ない。しかも従来の裁判論では、「日本無罪論」で知られるインド代表判事ラーダビノード・パルの個別反対意見や、オランダ代表判事B・V・A・レーリンクによる個別反対意見がもっぱら話題にされ、本来の東京判決である多数意見が軽視されてきた。その結果、東京判決そのものの実証研究は立ち遅れ、東京裁判を国際刑事裁判史のなかでどう評価するのかは、判決七五周年を迎える今でも未解決の研究課題である。このような状況をふまえ、東京裁判の事実認定がいかになされ、責任がどう問われたのかを実証的に解明し、東京裁判の功績と問題点を改めてあきらかにする。
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