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二人が出会った時、Jは85歳。作家であり尼僧。人生最後の恋の相手は、母袋晃平(もたいこうへい)、IT企業を経営する37才。 Jは二十代で夫と娘を捨て出弄。男性作家と浮き名を流し、次々と問題作を発表。五十歳をすぎて仏門に入るも創作活動はより勢いを増した。老いてこそ身体(からだ)も心も業火のごとく燃える愛の軌跡。かつてない〈老いの自由〉を描き切った痛切な純愛小説!「母袋(もたい)はJのことをよほど誰かに話したかったのだろう。私は仰天し、痺れながらも手帖を取り出した。贅沢な恋愛をさせてくれたJと別れ、ただの男になりさがって家庭に戻り、かつての恋人の死を知った母袋の声はしとしと降る小雨のように寂しげだった」老いらく恋の豊穣な息遣いが聞こえてくる……
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