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あるとき若い学生に「先生にとって、死とは何ですか」と単刀直入に聞かれ,どう答えようかと困惑したことがあった.医学的な死について説明するのは容易いが,ここで聞かれていることは〈私〉にとって死とは何かという問いであった.
高齢化の進んだ日本の医療現場では今後ますます死を身近に感じることとなります.医療技術が進歩した一方で,地縁の希薄化などにより「死んだらどうなるのか」「お葬式はどうするのか」など死生観にも個別性が出てきています.不意に患者や家族から発せられる生老病死の苦しみの訴えに医療者はどのように応えればよいのでしょうか.
本書ではプライマリ・ケア医と5名の専門家との対談から日本人の宗教観や死生学の知識,スピリチュアルケアに挑むための心構えを紐解いていきます.
目次
医療者が考えるべき日本人の宗教観
孫 大輔×井口真紀子(医師,死生学研究者)
医療からこぼれ落ちるもの
孫 大輔×森田敬史(融通念仏宗 僧侶)
無限の闇を前にして
孫 大輔×深谷美枝(横浜聖霊キリスト教会 牧師)
スピリチュアリティを辿る
孫 大輔×島薗 進(宗教学研究者)
雲は死なない
孫 大輔×ブラザー・サンライト(臨済宗・ベトナム禅宗了観派 比丘)
終章 臨床と宗教 スピリチュアリティのかなたに
孫 大輔
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