環境への関心が高まる中、四季の移ろいに寄り添い、植物の持つ色や力強さを染める「草木染め」。ジャパンブルーと呼ばれ世界的に人気のある藍や、夕暮れの色に例えられる茜など、その美しい色は古来より愛好されてきました。本誌では、従来の渋いイメージを一新するような、モダンな染め作品をつくる染色家を訪ねます。同じ植物でも年や季節によって色のゆらぎがあることや、経年変化があることもいとおしみながら作品づくりをする様子、染めた作品を生活の中にさりげなく生かす方法などを紹介。また、自宅のキッチンでできる、身近な材料で染める手法や、端切れを生かした小さな作品づくりも学びます。
内容紹介
1.丹羽花菜子「藍 暮らしを彩る手ぬぐい」
筑波山のふもとに自宅兼藍染工房を構える。絞りやろうけつ染めで幾何学的なデザインに染められた手ぬぐい、子どものために染めたおくるみやワンピースのほか、インテリアに藍染を生かすアイデアも。
2.小室真以人「桜 色も、人も、一期一会」
草木染めのアパレルアイテムを展開する小室さん。桜の枝を煮出し、回数とともに変化する様子をレポート。また、家庭にあるものだけでできる基本の草木染めについて、たまねぎの皮を例に教わる。
3.中野紘子「栗 色を紡ぐ”座繰り“」
「上州座繰り」と呼ばれる伝統的な手法で蚕から糸を繰り、その糸を染め、作品を織るところまですべて手作業で行う中野さん。栗のいがで染色した糸で織られたストールなど、座繰りならではの手触りのある作品を紹介する。
4.関将史・関裕子「黄 “もったいない”が彩りに」
工房を構える茨城県の農家より譲り受けた農業廃棄物を使用し、ワンピースやカーディガンを制作。収穫後のピーマンの葉や枝を使って、鮮やかなイエローに染め上げる。
5.青木正明・tomoko「貝紫 古代の色に魅せられて」
京都で2人が営むアパレルショップで染め上げられるのは、コットンのTシャツ。古代からの染色を研究する正明さんが染めるのは、ローマ帝国時代から珍重され、その希少性に帝王や法王しか身に着けられなかったと言われる、貝紫。
6.野村春花「柿渋 かばんは時を刻む」
京都で草木染めかばんを制作している野村さん。使い込んで色や質感に変化が出たものもいとおしみ、染め直しや重ね染めもしている。年齢や性別を問わずに使える柿渋染めのバッグの制作過程を追う。
7.山崎和樹・山崎広樹「日本茜(あかね) 親子4代で受け継ぐ心」
初代は「草木染め」の名前の生みの親、2代目は日本画家として活躍しながら、草木染めを広めた山崎家。植物を工房の庭で育てて染料にし、その手法を広く教えている。庭で育てた日本茜で染める様子や、代々の作品を紹介する。
8.山本淑子「山吹 畑で育てた色をつなぐ」
自然農で自ら育てた植物を染料として布を染め、モダンキルトを制作。マリーゴールドで黄色く染めた上に藍を重ね染めし、美しい緑色に。また、紅茶で染めたメッセージカードの作り方を紹介。
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