本書は、数学学習研究において学習者の概念の形成を観察可能な数学のディスコース上で捉え、またヴィゴツキーとヴィトゲンシュタインの発想をベースとして「コモグニション(commognition = communication(コミュニケーション) + cognition(認知))」論を構築した著者によって執筆された、コミュニケーションと思考がコインの裏表の形であり、言葉を語ることでなぜ思考が高まるかを説明する書籍である。
前半では、学習と問題解決に関する多くの伝統的な論争の提示から始め、その解決にコモグニションの視点が有用であることを解説する。後半では、数学的ディスコースの意味づけにコモグニション論を用い、その威力を明瞭に例証する。
本書を通じて、理論的な考察の中に、数多くの経験的事例がちりばめられている。例のほとんどは数学的なものだが、それらはかなり初等的なものであり、基本的な算術について多少でも知っている人には容易に理解できるものである。そのため、数学を専門にしない読者にとっても大いに有用なものとなっている。人間の思考を理論化することに関心がある人、数学的思考に興味がある人、双方にとって大変有益な書籍と言えよう。
[原著:Thinking as Communicating: Human Development, the Growth of Discourses, and Mathematizing]
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