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ビリヤード球のように横から斜めから当たって幸運な方向へ誘ってくれた球がいくつもあった。本書の中で考え行動した事柄すべてが、原一夫という人物をあらわしている。
……僕の半生も妻を筆頭にいい人達と、いい機会に巡り合えた面白い人生であった(過去形が妥当だろう)。奇異な結婚、迷える子羊の浮気、民芸品輸入、家の二軒新築、喫茶店経営、ステンドグラス工房開設、脳溢血発症、身障者、絵、黄色い糸等々、スケールは小さかったが思い付くままに好きな事をやった。結果、半身不随の病禍という過分なお釣りも支払った。(本文より)……
やりたいことを見つけなければ、と焦らなくても時と運が来れば必ず出合える。その時に興味を持ったことは他人や家族の目を気にせず挑戦するのがモットー。失敗も財産だ。
「この一冊、クソジジイが放った尻軽八十路男の半生譚」この言葉どおりの生き様を綴った私小説である。
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