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《本書のテーマは副題に含まれている「喪」と「批評」という2つの言葉の間に発見すべきもので、それは著者自身にとっても終わることのない課題である。しかし、「旅」が第三のモチーフとして「喪」と「批評」のあいだに否応なく浮上する。実際論考の多くが、日本の内外を問わず、客地での発表が元になっている。また最初にフランス語もしくは英語で書かれたものが8本あり、翻訳に思いのほか時間を要した。(……)
本書所収の諸論考の成立は2000年から2022年にわたる。この20年あまりは、私がもっとも頻繁に「旅」への誘いを受けた歳月だった。そしてこの時期は新型コロナウイルスの到来によって突然終わった。この時代の転換は、個人的には教職の任用期間の終了に重なってもいた。いずれにせよあのような「旅」の時代が戻ってくることは二度とないだろう。その意味で本書は私の人生のひとつの時期の決算であり、別の「旅」への準備でもある。》(あとがき)
戦争、地震、原発事故、疫病、そして差別と抗争。この時代に死者を悼みつつ生き続け、新たな旅へと誘う哲学・文学・芸術とは? 未知の世界への他者からの招待、その歓待に応答を試みる「魂」の冒険。友愛に満ちた21世紀論考集成。
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