取り寄せ不可
好きだから、結婚はできない。
きっと愛がほしくなるから。
鋭いビジネス感覚をもった青年ガイはたちまち社内で頭角を現し、
彼を気に入った社長が、孫娘セリーンとガイを婚約させた。
セリーンは、兄のようなガイのことを心から好きだった。
だからこそ、愛されていない自分はふさわしくないと思ったのだ。
婚約解消を申しでたときのガイの静かな沈黙は忘れられない。
やがて、家をでて生活する彼女のもとに祖父の訃報が届く。
故郷に帰ったセリーンを迎えたのは、未だ独身を貫くガイだった。
ふたりの仲を裂こうとする悪意あるものの存在も知らぬげに、
セリーンの胸元には、今も婚約指輪がチェーンの先で揺れていた。
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