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本書は、2014年に汲古書院より出版した前著『アヘン戦争の起源―黄爵滋と彼のネットワーク―』
の補足に相当する内容である。前著において、私は黄爵滋が開催した集会の参加者を特定することにエ
ネルギーの大部分を使い果たし、アヘン戦争につながる対外政策の転換に黄爵滋がいかに関与したかと
いう肝腎のテーマについて、十分に考察することができなかった。やり残したことがある、という思い
をずっと抱いてきた。
黄爵滋は、1835年以来、アヘン密輸入に関与する外国人に死刑を適用する法例の制定を画策していた。
まず、アヘン販売とアヘン吸煙とは死刑という「新例」を制定し、それを『大清律例』「化外人有犯」
の條に依拠して外国人に適用する、というアイディアである。
林則徐は「新例」に則り、外国人商人に、以後アヘンを持ち込んだ場合には死刑に処せられることに
同意する、という誓約書の提出を求めた。イギリス貿易監督官エリオットは、誓約書の文言「人即正法」
に強く反発し、本国に艦隊派遣を要請した。「新例」の制定がイギリス艦隊の中国派遣につながった、
と私は理解している(序章参照)。
「新例」の制定は、時の大学士阮元の抵抗を排除して実現した。本書ではこの過程を?章、?章、IV
章で論じた。阮元はアヘン販売とアヘン吸煙とは死刑という「新例」は、当時の中国社会のアヘン需要
(I章参照)を無視した非現実的なものであり、混乱と悲劇を招く、と考えていたようである。
黄爵滋の弟子でさえも、「新例」は非現実的であり実行不可能である、と異論を述べていた。なぜ、
黄爵滋は多くの年月と膨大なエネルギーを費やして、非現実的な「新例」を制定に持ち込んだのだろうか?
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