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昭和に入り、猟奇事件が続発した。帝都が大震災からモダン都市に生まれ変わっても日本中を襲う不安は拭えなかった。テロと弾圧が横行し、軍靴の音だけが次第に大きくなる。軍人が威張りだし、大人も子供も男も女も火の玉となり戦う「総力戦」の時代がやってくる。昭和は戦わなければ生きられない時代だった。敗戦後も、人々は焦土に力の限り立ち上がる。占領軍来たり去り。「平和」の世でも事件は多発。猛スピードで駆け抜けた高度経済成長。暮らしは豊かになるが、誰の心にもポッカリ穴が開いたままだった。人々の心の穴から生まれるように「怪人」が生まれては消えた。怪人を追うように、事件記者として幾多の事件現場を疾駆した伝説のルポライター朝倉喬司が、ならではの筆致で描く怪人人別帖。
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