運命を管理する神様の手違い(うっかり)で、林檎としてフレッシュな異世界転生を果たした古津大輔(33)。
たわわに実った林檎のひとつとして転生したフルツは、手も足も出ず、まさに万事休す。
神様からお詫びでもらった最強のチート能力も、林檎の身ではまったく役に立たない。
夢も希望もない転生に嘆くフルツの脳裏に、不思議な少女の声が響く。
それは神から授かった手違いのお詫びである五大能力カードのひとつ「倉庫のカード」に収納されていた意志を持つ世界樹の杖、「グリダヴォル」の声だった。
倉庫に収納されている杖であるグリダヴォルの声は、神様には聞こえずフルツだけにしか届かない。閉ざされた世界の中で、林檎と杖の不思議な交流が生まれていく――。
グリダヴォルから植物として生きるための導きを受け、植物としての五感を手に入れたフルツ。そんなフルツの耳に、ゴブリンに襲われている少女フレッサの悲鳴が届く!
グリダヴォルのさらなる導き+神様からもらったチート能力で、フルツはなんと自らの意志で動ける林檎として覚醒する!
そして強烈な体当たりでゴブリンの頭を吹き飛ばし、ゴブリン集団を撃退成功! 無事にフレッサを救うことができたのだった……!
フルツらの尽力によって命を救われたフレッサだったが、なぜか自分が「リンゴ魔法」の使い手として目覚めたと勘違い。フルツらを、冒険者が集まるカラブーヤの町へと連れ去ってしまう……!!!
カラブーヤの町で、フレッサを待っていたのは、Aランク冒険者・ホルマー。
ホルマーらの反応から察するに、どうやらフレッサは熱烈な冒険者志望の少女で、自称・魔法使いらしい。ホルマーから冒険者になるために出されていた条件が「魔法が使えるようになること」というものだった。
そこで堂々と「リンゴ魔法」の存在を宣言するフレッサだが、酒場の人々は彼女をあざ笑う。
ただひとり、ホルマーだけが彼女の言葉を聞き、「証明してみろ」と告げる。
カラブーヤの町への道中、倒したモンスターを倉庫のカードに収容しておいたフルツとグリダヴォル。ふたりはフレッサの呼びかけに応じ、ホルマー達の前にBランクモンスターのセデルを倉庫から取り出して見せる。
酒場にいた人々は、林檎から突然モンスターの死骸が飛び出したことに驚愕する。目の前で起きた信じがたい光景に、半信半疑だったホルマーも「リンゴ魔法」の存在を肯定するしかない。
ついに念願の冒険者ギルドへの加入を許可されるフレッサ。しかし「試験に合格したら」という無情なホルマーのひと言が投げかけられる。フレッサも寝耳に水の「冒険者試験」。フルツはフレッサと共に新たなイベントに挑むことになるのだが……!?
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