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本書は,物性物理学における物質のトポロジカル相(topological phase)の理論の一部について,特に数学的な立場からまとめたものである.とりわけ,トポロジカル相の分類,バルク・境界対応の数学的証明,の2つを軸として,分野の全体像をなるべく俯瞰することを目指した.
【目次】
第1章 導入(連成ばねの力学/整数量子ホール効果/対称性に守られたトポロジカル相)
第2章 関数解析からの準備(ヒルベルト空間と有界線形作用素/C*-環/本書に登場するC*-環の例/可換C*-環)
第3章 フレドホルム作用素の指数理論(フレドホルム作用素/フレドホルム指数/自己共役フレドホルム作用素のスペクトル流/テープリッツ作用素/実ヒルベルト空間上のフレドホルム作用素)
第4章 作用素環のK理論(C*-環のK0群/C*-環のK1群/6項完全列/位相的K理論/同変K理論/Z2-次数つきC*-環のK群/フレドホルム加群と指数ペアリング)
第5章 複素トポロジカル絶縁体(バルク系のトポロジカルな分類/境界状態のトポロジカル指数/アティヤ-シンガーの指数定理/バルク・境界対応/整数量子ホール効果/一様磁場と非可換トーラス/ラフリンの思考実験)
第6章 ランダム作用素の非可換幾何学(ランダムな観測量の代数: 周期的な物質の場合/ランダムな観測量の代数: 非周期的な場合/巡回コホモロジー理論/非可換チャーン指標/バルク・境界対応)
第7章 粗幾何学とトポロジカル相(ロー環と一様ロー環/ユークリッド空間の粗C*-環の非可換幾何/非周期的ハミルトニアンのバルク・境界対応/螺旋転位とバルク・欠陥対応)
第8章 トポロジカル絶縁体と実K理論(AII型トポロジカル絶縁体/キタエフの周期表/実C*-環/実C*-環のKR0群/KRj群とAZ対称性/非周期的なトポロジカル絶縁体)
第9章 スペクトル局在子(複素スペクトル局在子/実指数ペアリングの斜交スペクトル局在子)
第10章 捩れ同変K理論(量子力学の対称性: ウィグナーの定理/フリード-ムーアの捩れ/フリード-ムーア捩れ同変K理論/捩れ対称性に守られたトポロジカル相の分類/AZ対称性再訪/鏡映対称性に守られたトポロジカル相)
第11章 トポロジカル結晶絶縁体(結晶対称性とその一般化/結晶対称性に守られたトポロジカル相/捩れ結晶T双対/アティヤ-ヒルツェブルフのスペクトル系列/トポロジカル絶縁体の誘導とアトミック絶縁体)
第12章 関連する話題(アンダーソン絶縁体のトポロジカル相/ギャップラベリング予想/連続系のバンド理論/高次トポロジカル相/ワイル半金属/非エルミート系/多体系としての自由フェルミオン/分数量子ホール効果)
付録A 補遺(関数解析とC*-環論の補足/カスパロフ理論/留数コサイクルと局所指数定理)
参考文献
索引
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