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「此者、将軍家代理之側目付也」──大刀の鍔に刻まれていたのは、将軍の耳目となって、大名や旗本を監察する将軍側目付の証であった。疑わしきことあらば、おのれの判断で事の処理にあたる権限が認許されているその役目に、父・武兵衛亡き後、就いたのが仙石隼人である。
とある夜、見廻り中の隼人の目は、五人の強盗頭巾に斬られた若侍を捉えた。彼の襟には、米価を操る大坂蔵奉行衆の悪事を暴く書状が……。侍の敵討ち、そして御上に刃向かう悪党の処断を決意した隼人は、直ちに将軍吉宗と大岡忠相に報告、大坂行きの許可を得る。米の横領は、吉宗の政の根幹を揺るがす大事。果たして小野派一刀流皆伝の隼人の剣は、御蔵に巣食う鼠たちを斬り捨てることができるのか──!
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