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生後まもなく逝きし子へ
幸せのただなかにいるときほど、人は不吉な予感に捉われてしまうものなのかもしれない。浅井のりこさんにはとりわけその思いがつよかった。
現実となってしまった哀しみを乗りこえて今を生きる女(ひと)の歌々。
そこにはこまやかな夫婦愛と、歌に向かうひたむきな心という支えがあった。────今野寿美
悲しみは現在完了進行形すがたを変へて今のかなしみ
子育ての苦楽の章は落丁し未完の本のタイトルも無し
若き日の父の作りし歌と逢ふ娘の知らぬ父がほうと息せり
生まれ来しいのちの意味を問ひながらあの日もけふもあしたも生きる
名を呼べば「我在」と答ふ寝入るまへふたりのあそび 息してますか
(今野寿美選 )
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