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「ありのままの自分」を全面肯定し、愛するために。
他人との比較や劣等感・自己否定に病む現代人の心を温かく励ます「個性讃歌」
年収やSNSのフォロワー数でひとの「価値」を測る。有名人や「幸せそうな他人」と自分を比較して、劣等感にさいなまれる。そのくせ、万事順調なふりをしてしまう。まわりからどう見られているか気になって、弱音が吐けない、本音を言えない…こんなふうに、わたしたちは病的なまでに周囲や世間を気にして、率直になれずに苦しんでいます。
容姿が美しい、頭の回転が速い、スポーツができる、所得が多い等々の特徴は、たんに相対的な「違い」であって、優劣ではありません。それらの特徴がしばしばお金に紐づけられているため、なんとなく優位性だと思わされているだけです。周囲の目が気になるのも、多分にそうした序列に縛られているからでしょう。セレブはだれの目も気にせず好きにふるまえるけれど、一般人は分をわきまえて空気を読まなければ、というわけです。
だれかと/なにかと比較することに意味はない。そもそもおなじものなどひとつもないし、違うからこそ人生も世界もすばらしい。どのいのちも唯一無二で、その尊さはほかの何かと比較できない。生の奇跡はいつだって目のまえにある。本書はそんなふうに「個」をたたえ、「ありのままの自分」を愛するよう促す絵本です。巻末にはシリーズ既刊同様、「自分を全肯定するためのエクササイズ」の手引きがついています。
終盤に《I matter.》つまり「ぼくがどうでもいい存在だなんて とんでもない」という文が出てきます。matterの一語に、ともにアメリカに暮らす作者たちの、根深いレイシズムへの悲しみと怒り、高揚著しいブラック・ライヴズ・マター(黒人を殺すな)運動への共感が読みとれます。あらゆる違いを肯定し、たたえあうことで、愚にもつかぬ比較やそれに基づく区別・差別をなくそう――本書にはそんな願いもこめられているのだと思います。(しまづ・やよい)
(巻末付録:「マインドフルネスでじぶんをほめたたえるエクササイズ」ガイド)
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