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◎本書の刊行に寄せて
「大人の学びなおし」に必要なのは、一度習ったことを違うやり方で学べる教材です。
初めての学習は、ふつう「ことばの仕組み」を中心に進めます。まず動詞の現在形を習い、現在進行形、過去形、未来表現…というように積み重ねていきます。「大人の学びなおし」では、この順番にこだわりません。また、日本人学習者にとって比較的定着度の高い文法項目は、ターゲット文として取り上げることもしません。
「大人の学びなおし」の目的は、単に中学校で扱う内容を網羅することではなく、使いこなせていない知識を活性化し、コミュニケーションにつなげることだからです。
そこで、「ことばの仕組み」ではなく「ことばの働き」を中心に学習計画をたてました。わたしたちはことばを使って、ある意図を伝えたり、ある行為を行ったりします。たとえばDo you want to go to a movie on Thursday night? と言って映画に誘い、I have my book club meetings on Thursday evenings. と言って誘いを断ります。「誘う」「断る」といったコミュニケーションの目的を「ことばの働き」と呼んでいます。
Do you want to …? という疑問文の作り方、つまり「ことばの仕組み」はご存じですね。このDo you want to …? の次に、go to a movieや watch fireworksなど、一緒にすると楽しいことを続けると、「…しない?」と誘ったり提案したりすることができます。こうした「ことばの働き」を知ることで、この疑問文が生きた知識となるのです。
「大人の学びなおし」では、「ことばの仕組み」を中心に学んできた英語を「ことばの働き」という視点からとらえなおし、両者を関連付けていきます。
「ことばの働き」は場面や状況よって決まります。たとえば、試験が始まろうとしているとき、筆記用具を忘れた学生が隣の学生にDo you have a pen? と聞いたら、「ペン貸してくれる?」という「依頼」です。ペン書き指定の試験なのに鉛筆で書いている学生を見つけた先生がDo you have a pen? と聞いたら、「ペンで書きなさい」という「指示」です。誰と誰が、どんな場面で、何を意図して発話しているのかという状況を把握しなければ、コミュニケーションは成立しません。
ですから、「ことばの働き」を中心に学ぶ英語は場面と状況を大切にしています。
各レッスンのストーリーには、職業、趣味、ライフスタイルがさまざまな大人たち、そして子どもたちも登場します。彼らの日常をドラマの一場面のように楽しみながら、眠っていた知識を呼び起こし、活用していきましょう。
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