最近の家畜の栄養と飼養,飼料の生産などの分野における研究の進展,技術の革新には目覚しいものがある。家畜の育種改良,繁殖技術の分野においても同様である。畜産学として蓄積されてきたこれらの知識や技術は産業動物にとどまらず,すべての動物に応用できるものとなっている。
生物の多様性の減少は生物の相互作用に影響し,地球環境の悪化,人類生存への脅威となる可能性がある。絶滅危惧種や希少種のみならず多くの生物種の保護,増殖に対応することが必要となっている。コウノトリやトキの保護,増殖には成功しつつあり,飼養学の領域は新しい役割を担っている。家畜に限らず野生動物を含めた,より多くの動物を視野に入れなければならなくなってきている。
本書は「基礎家畜飼養学(亀髙正夫ら)」の衣鉢を継ぐものであるが,動物の飼養とあるとおり家畜のみならず,実験動物,愛玩動物,展示動物,さらには魚類と昆虫の飼養についても記述した。本書が動物栄養学,飼料学,飼養学の基礎ならびに応用を学ぶ若い学生,院生の教育的効果の高揚に,さらには実際に動物の飼養に携わっている方々の役に立てれば幸いである。
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