【刊行によせてより】
本書は平成17?19年度にかけて、故三谷孝先生を研究代表とする科学研究費補助金の交付を受けて実施された中国内陸部農村の訪問聞き取り調査の記録である。本研究の成果はすでに『中国内陸における農村変革と地域社会 山西省臨汾市近郊農村の変容』(御茶の水書房、2011年)として刊行されているが、聞き取り調査の記録自体はこれまで刊行されなかった。三谷先生が手がけた農村訪問調査の記録は、かつて汲古書院から大部の『中国農村変革と家族・村落・国家―華北農村調査の記録』第1巻(1999年)、同第2巻(2000年)として出版されている。しかし、その後行われた山西省の調査記録は出版されること無く、そのままに置かれていた。それは三谷先生が不治の病により物故されたことが最も大きな要因であった。
昨年、三谷先生と若いころからともに研究会を重ね、中国農村研究に従事されてきた内山雅生先生を中心とする研究グループの調査記録を祁建民・弁納才一・田中比呂志が共同編者となり、『中国の農民は何を語ったか』(汲古書院、2022年)として出版した。刊行の動機は、第1に、後世の人々に聞き取り調査の記録を史料として使いやすいように公刊しておくのが良い、と考えた事。そして第2に、我々は聞き取り調査や他の文献史資料を併用して研究論文を作成したが、やはり後世の人々がそれらの論考を批判的に検討しようとする場合、誰もが聞き取り調査記録にアクセスできるようにしておくことが望ましいと考えたことにあった。本書『中国山西省高河店訪問調査の記録――2006年・2007年――』も、まさにそれに倣ったものである。
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