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大学の数学は,当然のことながら高等学校の数学の,はじめは緩やかに,次にだんだんと勾配を上げながらの延長・深化・発展ということになる.科学・技術の基礎研究は実際には高等(ハイレベルの) 数学に支えられている.したがって,大学の教育において高等学校レベルの数学だけを繰り返すだけでは,数学の文化にもまともに触れることもできず,ましてや現代の科学・技術の数理など理解できるはずもない! (本来の理工系大学の数学教育の目的までが頓挫することになりかねない).
高等学校の数学の自然な延長として,低レベルから段階的に大学の数学のレベルに引き上げて進めるのが教育上効果的であるように思われる.しかしながら高等学校の数学と大学の数学との間には現に(入学時の初年級に誰もが経験する大学における数学の新鮮さと少々当惑するところの)「ギャップ」がある.高等学校での数学の学習経験によっては,この「ギャップ」を難なくスムースにクリアできる場合と,ここで苦労する場合もある.後者にあたる学生は,多くの場合「自分で考える」ことを放棄しがちである.
本書の標題「数学基礎入門」には,この「ギャップ」を埋めるべく,かなりなだらかな勾配で,この段階で苦労する学生達のその苦労を軽減し,特に次のステップである「微分積分学」や「線形代数学」を見据えての「自分で考える」思考のウオーミングアップをしてもらいたいという気持ちがこめられており,学生自らの努力を最大限にサポートすることが本書の目的でもある.そのために本書では,あえて「数の四則演算」を一瞥してから「式(または関数)の演算」へ移行し,「演算の類似性」をしっかり体得,理解してもらう手法を採用することにした.また,「ギャップ」を難なくクリアできる学生に対しても,不完全な知識を正しく整理すると共に,数学の考え方を学ぶ上で基礎数学は欠かせないものである.どこかで聞いたことのある名言「Heaven helps those who help themselves.」+「自分で考える」ことを教訓として,常に心に留めておいてほしいものである.とにもかくにも,学ぶことを怠り,自ら努力せずして数学を理解することは不可能である!
本書では高等学校のやさしい数学の復習からスタートして,漸次微分積分学や線形代数学の本論に入る手前までに必要な基礎数学の準備がしっかりできるようにつとめ,また「わかりやすさ」をモットーに,構成法をわかり易くし,可能な限り懇切丁寧に解説した.学生の理解力・計算力の弱点を改善すべく,それぞれのテーマについて背景や意義の説明や計算の「ツボ」の在り処を強調し,数学への興味と自信を根付かせるためにいろいろ工夫もしてある.自力で計算ができるようになるにしたがって,数学に対する(苦手意識も徐々に薄れ)興味も増していく.自ら数学に近づき,もっと数学に積極的になってほしい(その気持ちが大切である!).さらに,計算技術の向上にともなって,その根底にある数学の考え方を是非汲み取ってほしい.
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