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人はその古道具屋が、いつもの道にあることに、ある日ふと気づく。
中に入れば、要りもしないモノを、店主から無理やり買わされる。
そのモノは、持ち主に、ある時はラッキーを、ある時は災いをもたらすのであった――
第一話:「さかさまの物語」
1989年、春。秀は大学を中退し、弁当工場でアルバイトをしながら、小説家を目指している。
第二話:「金色の豚」
90年代半ば。30代の香奈は、かつて東京にいた頃、心の虚しさを埋めたくて、女占い師に貢ぎ、多額の借金を負っていた。
第三話:「底のないポケット」
2000年代。信也は編集の仕事をしていた出版社を早期退職し、IT企業に勤める妻を都内にのこして、田舎で、自分の本の執筆にとりかかっている。
第四話:「持てないバケツ」
都内のマンションで暮らす由紀子。夫は田舎で晴耕雨読の生活を送っているので、年下の恋人と逢引き三昧の日々を送っている。
第五話:「集合」
専業主婦・工藤真沙美は夫の浮気に悩んでいる。
第六話:「幸福への旅立ち」
1980年代前半。幼い息子を亡くした母親がいた。
バブル前夜から二度の大震災まで、激しく移り変わる世相を背景に、
モノと心の間で翻弄されながらも懸命に生きる人々を描く
傑作長篇。
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