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天国にお散歩に行った男の子は、大好きなおかあさんとまたお話ししたいと願う。おかあさんもまた、男の子ともう一度話したいと願っていた。するとある夜、空から糸でんわが降りてきた。おかあさんが糸でんわを手にすると男の子の声が聞こえてきた。そして男の子とおかあさんの、おしゃべりが始まる――。
“こども”とは、どんな存在でしょうか? 私は歯科医師という職業を通して“こども”という存在と触れ合う機会が増えました。そして“こども”という存在に未来のワクワクや楽しみを感じるようになったとき、“我が子”を授かりました。兄弟や姉妹に憧れていた一人っ子育ちの私は、やがて3人の男の子の母となりました。そしてあるとき、1つのきっかけから絵本を描きたいと思うようになったのです。そのきっかけとは、三男の突然の他界でした。この絵本の主人公は、天国へお散歩に行った男の子です。その男の子が、大好きなおかあさんとまたお話をしたいと願い、おかあさんもまた、男の子と話したいと願っていました。するとある夜、空から糸でんわが降りてきました。その日から、男の子とおかあさんのおしゃべりが始まります。今どんなところにいて何をして過ごしているのか、お散歩中に出会ったおともだちの話、家族の想いなどを話すのです。このお話で伝えたいこと。それは、「見えなくてもそばにいるよ」のメッセージが常にこどもたちから送られているということです。そして彼らは、いつだって家族や大切な人のすぐそばにいて話しかけています。時には、お気に入りのぬいぐるみを抱えながら、あるいは家族との思い出を胸に抱きながら。我が子が天国へお散歩に行ったとき、きっといつも雲の上から見てくれているんだろうなあと思いながらも、「そばにいるんだ」と信じられるようなメッセージが聴きたい。この絵本は、そんなメッセージを受け取ったとしたら、家族にちょっぴり楽しみが増えるかもしれない、あるいは心から前向きに生きられるかもしれない。そんな想いで描きました。
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