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今までの注釈ではオモロを捉え切れない――最新の『おもろさうし』研究である、全六十九首の『おもろさうし』の「選詳解」。
これまでのオモロの注釈や解釈では、特に他の琉球歌謡との比較がほとんど行われていなかった。また、オモロ語の詳しい用例、オモロ以外の歌謡の中の用例も参照する必要があるが、オモロ語注に利用できる研究成果も現在では多数存在している。また新たに加えられなくてはならない視点として、オモロが位置付く巻の性格や前後の排列に配慮しなければならない。本書はこういったことを加えたうえで、本文・鑑賞・歌形・語釈・解説で一首の詳しい注釈と解説を行いユニークな魅力を伝える、最新の『おもろさうし』詳解。
【『おもろさうし』(全二十二)には、一五五三首(尚家本)のオモロが収録されている。編纂年は、巻の扉書きから第一が「嘉靖十年」(一五三一。琉球国の元号記載の基本は中国元号)、第二が「万暦四十壱年」(一六一三)、第三以下が「天啓三年」(一六二三)である。ただし、第十一、十四、十七、二十二には編纂年の記載がない。『おもろさうし』の編纂の実質は、第三回目の「天啓三年」が中心であったと考えられる。】
【オモロは、おそらく万葉歌や記紀歌謡、あるいは神楽歌、催馬楽等とほとんど比較できない唯一無二の歌謡であると考えられる。西郷が「オモロの世界」で示した「オモロはちょっと他に類比項の見あたらぬ歌謡であり」、「私には、同質性よりはむしろその独自性の方が強く印象づけられている」という理解は妥当である。そして、このことは琉球文学が現在の日本文学の枠にそのまま収まらないことを意味している。】……「序文」より
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