「評価指標でXXXという最高のスコアが出た!」と喜び勇んで、機械学習モデルが出力してくる予測結果をもとにビジネスを運用したとします。 ところが、ビジネス上のKPIと相関が高い評価指標を選んでいなかったために、KPIの推移を見てみると大した変化がありませんでした。 あるいは「毎日夜遅くまで残業をして、特徴量生成とクロスバリデーションによって評価指標を改善しました!」というデータサイエンティストがいたとします。ところが、KPIの改善のためには そこまで高い評価指標の値を達成する必要ありませんでした。このようなケースでは、データサイエンティストが費やした工数がすべて水の泡となってしまいます。----------(はじめにより)----------
このような状況が起きてしまう背景にはさまざまな原因が考えられますが、あえて一言で言うと「データサイエンスの問題が解くべきビジネスの問題と乖離していた」ためです。
機械学習モデルの”良し悪し”を決めるときには、評価指標(Evaluation Metrics)を必要とします。本質的に評価指標の設計方法は自由であり、ビジネス上の価値を考慮して自ら作成することも可能です。RMSEやAUCといったスタンダードなものから、ドメインに特化した数値まで、あらゆる指標が評価指標になりえます。では評価指標はどのように決めるのが良いのでしょうか。また、どのように決めれば冒頭のような悲しい状況を生まずに済むのでしょうか。
本書はこれらの疑問に答えるため、機械学習の良し悪しを決める評価指標を軸に、解くべきビジネスの問題をどうやってデータサイエンスの問題に落とし込むのか、その原理を解説していきます。この原理が普遍的なものであれば、ビジネスがどんなものであっても応用できると考えることができます。
回帰、分類で使用するスタンダードな評価指標についても、基本から丁寧に解説します。本書を読むことで、どのようなケースでどの評価指標を選ぶべきかがわかり、評価指標の読み間違いを避けることができます。
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